「空飛ぶクルマ」と聞くと、SF映画のワンシーンを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
しかし、現実の移動手段として、そう遠くはない将来に利用されようと開発が進んでいます。
「空飛ぶクルマ」に、世界中の企業が注目し、研究開発、実証実験をしている最中なのです。
今回は、空飛ぶクルマは実現するのか!?米ベンチャー企業「ジョビーアビエーション」について紹介していきます。
資産運用を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
ジョビー・アビエーションとは?

ジョビー・アビエーションは、米国カルフォルニア州サンタクルーズに本拠を置く航空ベンチャー企業で、電動垂直離着陸機(eVTOL)を開発し、空飛ぶタクシー(エア・ライドシェア)事業の実現を目指しています。
2009年に、ジョービン・ビーヴァートによって創設され、10年以上にわたってプロトタイプ実験を重ねてきました 。
代表機種となる「S4」は、パイロット1名と乗客4名が搭乗可能な5人乗りで、6つの回転プロペラを翼と尾翼に配したティルトローター方式を採用しています。
垂直離陸後、高速巡航飛行に移行する設計で、最高約200mph(約320 km/h)、最大航続距離150マイル(約240 km)を誇ります。
また、テスト飛行はすでに数万マイルに及び、FAA(米国連邦航空局)による型式認証も進行中で、2026年の商用運航開始を目指しています。
ジョビーのeVTOLは、「会話より静か」と謳われ、騒音性能にも優れ、環境負荷の低減につながるゼロエミッション設計が特徴です。
さらに2025年には、ドバイでのエア・タクシー運航に向け、スカイポーツやドバイ当局と提携し、専用Vertiport建設も進められています。
加えて、米空軍(Agility Prime)やNASAとも協力し、基地内輸送や交通管制システムの研究に活用されており、軍民両面での技術応用が模索されているのです。
資金面では、トヨタやデルタ航空など大手企業からも出資を得ており、2020年代後半の商業化を控えて、製造能力の拡大に向けてマリーナ(カリフォルニア)やオハイオ州で工場を倍増中です。
このように、ジョビー・アビエーションは、「都市上空の交通革命」を掲げ、静音・クリーン・高速を武器に、空飛ぶタクシーを現実のものとする次世代モビリティ企業として注目されています。
ジョビー・アビエーション業績は?
ここでは、ジョビー・アビエーション(NYSE: JOBY)の最新の業績状況(売上・利益中心)について紹介していきます。
売上
2024年度の通期売上は、約136,000 ドルと非常に小規模でした(前年比87%減)。
四半期ベースでは、2025年第1四半期において売上高は約78,000 ドル〜102,000ドルと報じられています。
たとえば、GuruFocusでは1.02 百万ドル(102,000ドル)と、Investing.comでは78,000ドルと報告されています。
利益(損益)
2024年通期の純損失は、約6.08億ドル。これは、前年(5.13億ドル)からさらに19%拡大した赤字です。
2025年第1四半期の純損失は、約8,200万ドル(-0.082 BUSD)で、前年同期(-9,500万ドル)から赤字幅を縮小しています。
EPS(1株当たり損失)は、第1四半期で-0.11ドル。これは、市場予想(-0.18ドル)より改善した結果です。
売上・利益の推移グラフ

(売上高:緑線、純利益:赤線 グラフは決算を参考に筆者作成)
上記のグラフは、「売上」と「純利益(赤字)」の推移を示しています。
売上は、依然として低水準である一方、赤字額は年々増加しているものの、2025年Q1では若干改善傾向が見られます。
商用化による売上拡大が今後のカギを握っているでしょう。
成長と収益認識に関する傾向
売上は、年間ベースで76.8%の成長率を誇りますが、絶対額は依然として低水準です。
一方で、純損失規模は大きく、赤字率の改善は見られるものの、利益化までには至っていません。
財務基盤
2024年末時点での現金及び現金等価物は、約9.33億ドル。Q1終了時点では、約8.13億ドルを保有し、トヨタからの追加投資500百万ドル(2回に分けて)が見込まれています。
同社は、2021〜2023年で約8.63億ドルを費消しており、2025年の年間キャッシュバーンは5〜5.4億ドル程度になる見通しです。
ジョビー・アビエーションは、2024年度通期で売上約13 万ドル、純損失約6.08億ドルと、収益化の道はまだ遠い状況です。
一方で、2025年第1四半期には赤字の改善傾向(-0.082億ドル)とEPS改善(-0.11ドル)が見られ、キャッシュポジションも約8〜9億ドルと安定しています。
今後は規制認証や商用化へ向けた進展が本格化し、収益の成長が注目されます。
投資家としては、短期の収益よりも「認証取得 → 商用運航 → 収益拡大」の動きと、キャッシュ消費ペースに注目が必要です。
今後の成長は期待できるのか?

ジョビー・アビエーションの今後の成長には、一定の期待が持てますが、それにはいくつかの条件が伴います。
まず、もっとも注目されているのは、2026年までに予定されている商用エアタクシーサービスの開始です。
同社は、eVTOL(電動垂直離着陸機)を開発し、都市間や空港間の新たな移動手段として、従来の地上交通の代替となることを目指しています。
米国連邦航空局(FAA)との型式認証プロセスは進行中で、これが順調に取得されれば、市場参入のハードルを大きくクリアすることになるでしょう。
さらに、トヨタやデルタ航空といった大手企業からの出資と技術提携は、資金調達力と製造能力に大きな後ろ盾を与えています。
また、米軍(Agility Prime)やNASAとの連携も進み、民間用途だけでなく、防衛や物流など幅広い応用が見込まれます。
これらは、事業リスクの分散と安定的な収益源となりうる点でプラス要因です。
一方で、懸念点としては、現在のところ売上はほぼゼロに近く、赤字経営が続いていることです。
2024年の純損失は、6億ドルを超えており、キャッシュバーンのペースが高いため、商用化のタイミングが遅れれば財務リスクも拡大します。
また、競合他社(アーチャー、リリウム、ヴォロコプターなど)も多く、技術や規制対応のスピードが勝敗を左右する激しい市場です。
このように、規制認証の取得と商用運航の成功が実現すれば、ジョビー・アビエーションは「空のUber」のような存在になり得る可能性を秘めています。
ただし、それまでは高リスク・高期待の段階にあると言えるでしょう。
まとめ
今回は、空飛ぶクルマは実現するのか!?米ベンチャー企業「ジョビーアビエーション」について紹介してきました。
ジョビー・アビエーションは、米国カルフォルニア州サンタクルーズに本拠を置く航空ベンチャー企業で、電動垂直離着陸機(eVTOL)を開発し、空飛ぶタクシー(エア・ライドシェア)事業の実現を目指している企業です。
現在のところ売上はほぼゼロに近く、赤字経営が続いていますが、今後実用化に向けた取り組みが加速すれば、利益も膨らみ期待が高まる企業として成長していくでしょう。
#空飛ぶクルマ #ジョビー・アビエーション #ベンチャー企業 #株価 #資産運用