福岡県に本社を置く「トライアルホールディングス」は、IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)といった最先端技術を活用することで、小売業界に革新をもたらしている企業です。
独自開発のスマートカートや、リアルタイムで商品需要を分析するAIシステムを導入し、店舗運営の効率化と顧客満足度の向上を実現しています。
今回は、次世代のスーパーマーケット!?IoT・AIを活用した「トライアルホールディングス」について紹介していきます。
資産運用を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
「トライアルホールディングス」歴史

トライアルホールディングスの歴史は、1974年に福岡市で開業した古物商「あさひ屋」から始まります。
1984年に、「株式会社トライアルカンパニー」として法人化され、ディスカウント業態を主軸とした事業展開を開始しました。
1992年には、ディスカウントストア1号店を開店し、1996年にはスーパーセンター業態に進出するなど、郊外型の大型店舗を全国へ拡大していきます。
2000年代には、POSレジや商品管理システムを自社開発するなど、ITの導入を積極化しました。
2003年には、中国に開発拠点を設け、ソフトウェアの内製化も進めました。2015年には持株会社制に移行し、「トライアルホールディングス」を設立します。
AI・IoTを駆使したスマートストアの実現に向け、自社開発のスマートカート「Skip Cart」や、リアルタイム在庫管理システムなどを導入していきました。
2022年には、無人決済型店舗「TRIAL GO」を開店し、次世代型流通をリードしています。
2024年には、東京証券取引所グロース市場に上場し、さらなる成長に向けて加速中です。
トライアルホールディングスの業績は?
トライアルホールディングスの最新の業績(2025年6月期・通期)は以下の通りです。
売上高・利益の概況
・売上高(連結):8,029億円(前期比+11.8%)
・営業利益:192億円(前期比+0.2%)、営業利益率は約2.39%
・経常利益:204億円(前期比+3.1%)、経常利益率約2.54%
・当期純利益(親会社株主帰属):104億円(前期比−9.1%)、1株当たり約85円
過去3年の推移(2023年度~2025年度予想)
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 |
2023年6月期 | 6,531億円 | 140億円 | 144億円 | 81億円 |
2024年6月期 | 7,179億円 | 192億円 | 198億円 | 114億円 |
2025年6月期予想 | 8,029億円 | 192億円 | 204億円 | 104億円 |
売上は、直近2期で9〜12%の成長、利益は2024年に急伸したものの、2025年には営業利益ほぼ横ばい、純利益は減益に転じています。
売上・利益の推移グラフ

(売上高:青線、純利益:緑線 純利益:赤線 グラフは決算を参考に筆者作成)
上記のグラフは、トライアルホールディングスの売上高・営業利益・純利益の推移を示しています(2023〜2025年予想)。
売上は、右肩上がりで成長していますが、利益は2024年に大きく伸びたあと、2025年には伸び悩んでいる傾向が見られます。これは、大型投資やM&Aの影響と考えられます。
成長のカギと課題
売上伸びは引き続き堅調で、コンパー店舗ベースでは前年同期比3〜6%増、全店ベースでは約11%増加しています。
利益率の課題
収益性(営業利益率)が2%前後にとどまり、投資負担により純利益率はやや低下しています。
AI・IoT導入や、店舗M&A(西友買収など)による初期費用が利益を圧迫している模様です。
投資と資本効率の影響
ROIやROE(2025年予想ROE 約8.48%)は、やや低下傾向です。投資対効果の改善が今後の収益力強化に必要不可欠です。
トライアルホールディングスは、M&A戦略やスマートストア投資を通じて急速な売上拡大を実現しています。
ただし、利益面では投資負担と初期コストの影響が鮮明になっており、今後は利益率の維持・回復と資本効率向上が最大の経営課題といえるでしょう。
成長基調は、持続しているものの、投資回収フェーズを経て利益構造をどう改善していくか注目です。
日本を代表するスーパーマーケットになれるのか?

トライアルホールディングスは、AIやIoTなど最先端技術を活用したスマートストア戦略により、既存のスーパーマーケットとは一線を画す革新的な存在として注目されています。
自社開発のスマートカートや、リアルタイム在庫管理システムは、業界内でも先進的であり、効率化・省人化を実現しています。
さらに、2025年には大手スーパー「西友」の買収を通じて関東圏にも進出し、店舗数・売上ともに一気に規模拡大を果たしました。
これにより、地方発のディスカウント業態から全国ネットワークを持つ小売大手へと進化しつつあります。
一方で、営業利益率は約2〜2.5%と薄利構造であり、急激な拡大に伴うコスト増や投資負担が収益性の課題となっています。
また、顧客層の中心が価格志向の高い層であるため、ブランド力や高付加価値商品の展開では、既存の大手スーパー(イオン、ライフ、イトーヨーカドーなど)と比較して弱い面もあります。
とはいえ、業界に先駆けてデジタルシフトを実行してきた柔軟性とスピード、そして収益モデルの変革を推進する姿勢は、競争が激化する小売業界において大きな武器となるでしょう。
今後、テクノロジーと店舗運営の両面でバランスをとりつつ、収益性を高めていければ、トライアルは日本を代表する次世代型スーパーマーケットとして確固たる地位を築く可能性を十分に秘めています。
まとめ
今回は、次世代のスーパーマーケット!?IoT・AIを活用した「トライアルホールディングス」について紹介してきました。
トライアルホールディングスは、IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)といった最先端技術を活用することで、小売業界に革新をもたらしている企業です。
2025年度の利益は伸び悩んでいる傾向が見られますが、今後テクノロジーと店舗運営の両面でバランスをとりつつ、収益性を高めていくことで、日本を代表する大手スーパーマーケットとして活躍していくでしょう。
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