企業価値200億ドル(約2.1兆円)とも言われるデータ分析企業「パランティア・テクノロジーズ」。
パランティアは、ペイパル創業者のピーター・ティールが設立したことでも知られています。
そんな中、米軍、国防総省、FBI、といった機関を顧客に抱え、機密案件を扱ってきたため、公開されている情報はそれほど多くありません。
今後、分析プラットフォーム分野で活躍が期待できることから、株価も上昇しています。
今回は、パランティアはどんな企業?データ統合・分析プラットフォーム分野で世界を凌駕できるかについて紹介していきます。
パランティアとは?

パランティア(Palantir Technologies Inc.)とは、アメリカのビッグデータ解析企業で、主に政府機関や大企業向けに情報解析ソフトウェアを提供しています。
2003年に、ピーター・ティールやアレックス・カープらによって設立され、CIAの投資機関であるIn-Q-Telから出資を受けたことで注目を集めました。
パランティアの強みは、膨大なデータを統合・解析し、有用な洞察を引き出す能力にあります。
特に、テロ対策や軍事、犯罪捜査など、国家安全保障分野で高く評価されています。
代表的な製品には「Palantir Gotham(ゴッサム)」と「Palantir Foundry(ファウンドリー)」などがあげられます。
Gothamは、政府機関向けで、捜査や監視、軍事作戦支援に使われ、Foundryは民間企業向けで、サプライチェーン管理やリスク評価などに利用されています。
一方で、個人情報の取り扱いや監視社会への懸念から、プライバシーに関する批判も受けてきました。
実際に、一部の市民団体や技術者からは「監視国家を助長する企業」として問題視されています。
2020年に、ニューヨーク証券取引所に上場し、注目のテック企業のひとつとして世界中の投資家の関心を集めています。
近年では、医療・金融・製造業など新分野への展開も進めており、データ主導の意思決定支援企業として成長を続けています。
パランティアの業績は?
ここでは、パランティアの業績について紹介していきます。
業績概況(売上・利益中心)
2024年度(通期/12月期)
・売上高:約 28.7 億ドル(前年比 +29%)
・うち米国関連:1.90 億ドル(+38%)、商業部門:7.02 億ドル(+54%)、政府部門:12.0 億ドル(+30%)
・GAAP 純利益:約 4.62 億ドル(純利益率 16%)
・営業利益:3.10 億ドル(営業利益率 11%、一時事項除くと 15%)
・調整後営業利益:11.28 億ドル(39%)、調整後フリーキャッシュフロー:12.49 億ドル(44%)
2024年第4四半期(Q4/10‑12月)
・四半期売上高:8.28 億ドル(前年比 +36%)
・米国商業売上高:前年比 +64%、米国政府売上高:+45%、国際商業売上高:+3%と地域差あり
・調整後営業利益率:45%、調整後フリーキャッシュフロー:5.17 億ドル(率 63%)
・GAAP 純利益:7,900 万ドル(純利益率 約10%、調整後約1 億ドル)
・調整後一株当たり利益(EPS、希薄化後):0.14ドル(GAAPは 0.03ドル)
2025年第1四半期(Q1/1‑3月)
・売上高:8.84 億ドル(前年比 +39%)()
・米国政府部門:3.73 億ドル(+45%)、米国商業部門:2.55 億ドル(+71%)()
・純利益:2.14 億ドル(純利益率 約24%)
・営業利益:1.76 億ドル(営業利益率 約20%)()
・調整後営業利益率/フリーキャッシュフロー率:不明だが、前年同期より改善傾向にあります。
・通年売上ガイダンス:38–39%増の 38.9〜39.0 億ドル(従前の 37.5 億ドル)に引き上げ。
売上・利益の推移グラフ

(売上高:青線、純利益:緑線 グラフは決算を参考に筆者作成)
上記がパランティアの売上高と純利益の推移グラフです。
2023年に黒字転換し、2024年・2025年はさらに業績拡大が見込まれています。
特に、2025年は大幅な増収増益が予想されており、商業部門の成長とAI需要が背景にあります。
成長のポイントと構造分析
ここでは、成長のポイントと構造分析について紹介していきます。
成長ドライバー
米国商業部門(FoundryやAIP活用)が急成長。米国政府部門も安定して拡大しています。
AIプラットフォーム(AIP)
Forward Deployed Engineers による顧客密着型開発で商業案件の拡大が続いています。また、2025年も継続的な収益拡大が期待されています。
収益性向上
営業利益率やフリーキャッシュフロー率は非常に高く、特に直近四半期では調整後営業利益率45%、FCF率63%という高い水準です。
投資家評価と今後の展望
ここでは、投資家評価と今後の展望について紹介していきます。
株価パフォーマンス
2025年には、株価が2倍に上昇しています。現在は、史上最高値圏に位置し、高PER(2025年予想売上の 97倍)などバリュエーションには警戒感もあります。
アナリスト見通し
Mizuhoが中立評価に引き上げ、Wedbushは年初目標160ドルへの上昇余地ありとするなど、評価割れるものの成長性重視の立場が多数です。
政策・市場動向
「Warp Speed for Warships」や国境監視強化など、新政府の政策はパランティアの政府ビジネスに追い風になるかもしれません。
パランティアは、2024年度に売上高 28.7 億ドル(前年比 +29%)、GAAP純利益 4.62 億ドル(純利益率 16%)を達成しています。
調整後、営業利益率 39%、調整後フリーキャッシュフロー率 44%と収益力も向上しました。
2024年第4四半期には売上高が前年比 +36%増の 8.28 億ドル、調整後営業利益率は歴史的高水準の 45%、FCF率も 63% に達しています。
2025年第1四半期も +39% 成長で 8.84 億ドルの売上、純利益率は約 24%。これを背景に、2025年通年の売上見通しは 38.9〜39.0 億ドルへと上方修正されました。
AIプラットフォーム(AIP)と米国商業部門の急拡大が成長エンジンとなっており、一方で高評価倍率と米国市場への依存には注意が必要です。
主要な分析機関は、成長の持続性を評価しつつも、投資妙味については慎重な姿勢を見せています。
データ統合・分析プラットフォーム分野で世界を凌駕できるか?

パランティアは、データ統合・分析プラットフォーム分野で世界をリードするポテンシャルを持っています。
その理由の一つは、政府・商業の両分野に強固な顧客基盤を持ち、米国防総省やCIA、大手企業に深く入り込んでいる点です。
特に「Gotham」は、安全保障や捜査、「Foundry」は企業の意思決定支援に特化し、それぞれの分野で高い評価を得ています。
近年では、独自のAIプラットフォーム(AIP)の展開により、AIとビッグデータの融合を加速しています。
この技術により、迅速かつ柔軟なデータ活用が可能になり、多くの企業や政府にとって必要不可欠な存在になりつつあるでしょう。
特に、米国内での商業分野の急成長が目立ち、2025年以降も拡大が期待されています。
ただし、プライバシー問題や欧州での規制強化といったリスクも存在します。これらにどう対応するかが、グローバルでの覇権を握るカギとなります。
競合他社の追随も激しい中で、パランティアが世界を凌駕できるかどうかは、技術革新と倫理的配慮のバランスにかかっています。
まとめ
今回は、パランティアはどんな企業?データ統合・分析プラットフォーム分野で世界を凌駕できるかについて紹介してきました。
パランティアとは、アメリカのビッグデータ解析企業で、主に政府機関や大企業向けに情報解析ソフトウェアを提供しています。
売上・利益とも大きく拡大しており、2025年以降も成長が期待できる企業の一つです。
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